ニシノさんゲームにハマる。

ゆうこさんとニシノさん

あるしとしとと雨の降る梅雨の夜。

 

ゆうこさんが仕事から帰ってくると、ニシノさんはなにやらソファーに座って熱心にスマホの画面を眺めています。

 

ニシノさん、ただいま。

 

ゆうこさんはニシノさんに声をかけ、ニシノさんはハッと我にかえったように笑いかけました。

 

「ゲームをしていたんだ。今流行りの。

<beautiful world>って言ってさ、RPG好きの間で流行ってるらしくて、僕もダウンロードしてみたんだ。

なかなか面白くてさ、まずは自分のキャラクターを作って、それからなんでもやっていいんだよ。

僕はやはりヒーラーだから、花を摘んでレメディーにしたり、薬草を見つけてお酒につけたり。

それを売ったお金で、素敵な家を建てて、庭には秘密のこやを建てたりしてさ。

これはオンラインゲームだから、他の人も見にこれるんだけど、

素敵な庭ですね!とか、病気になってしまったので薬草酒ください、とかコメント来たりしてやりとりできるの。

面白いよね。」

 

ニシノさんの作り上げているオンラインの世界は、現実のニシノさんと同じように、

少し独特で、でも何か癒されるものがあり、

派手さはないものの、そのゲームの中では結構な人気で、

近くに住みます、と、歌を歌うキャラクターや、ヨガをするキャラクターなど、

楽しい人たちが集まって来ていて、自然な集落のようなものを作っていたのでした。

 

それぞれが共有スペースのようなところに、

苗や、椅子やテーブル、バーベキューコンロなどを持ち寄り設置して、

みんなで使おうねーと、キャラクターたちはその中でイベントを開いたりして、

楽しく過ごしていました。

なんだかそのイベントの中でもお金がたまっていったりして、

それぞれがそれぞれの境界を侵すことなく、穏やかに過ごしていました。

 

ニシノさんはその平和な集落の様子を見てニッコリし、スマホを置いて、

ゆうこさんと夕食の準備を始めました。

 

そのままスマホのことは忘れて楽しい夕食をとり、

二人で眠った次の日の朝。

 

ニシノさんは<beautiful world>を立ち上げて「おや」とつぶやきました。

 

いつもなら、みんなが共有スペースでコーヒーを配っていたりして

みんなでおはよー!と言い合ったりしているのに、今日は誰もいません。

今日は、というか、ニシノさんの家の周りから、明らかに人の気配が減っていました。

 

そこに残っていた歌を歌う人が自分の庭の草を抜いていたのを見かけたので、聞いてみることにしました。

 

「何か昨日と様子が違うけど、何かあったのかな?」

 

歌う人は、眉毛をハの字みたいにしたちょっと面白い顔をしてこたえました。

 

「あーあのねぇー、昨日の夜ね、

とっても派手な集団が来てね、こっちの集落に来たらもっと楽しいイベントができて、

みんなで情報をたくさんシェアしながら、もっともっと発展できまーす!

海外のキャラクターたちとも交流しましょうねー!!

とかいって宣伝に来たのね。

で、結構な人数がついてったw

でもなんか、広々としていいね。静かになったここも好きだな。」

 

そうゆうことだったのかぁ。

 

ニシノさんは面白いなぁ、と独り言を言いながら<beautiful world>を閉じ、

コーヒーを入れて現実の仕事の準備を始めました。

 

✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎

 

今日も素敵なクライアントさんだったな。

 

ニシノさんはその日のぶんの仕事を終え、充実した気持ちで窓の外を眺めていました。

そうだ、ゆうこさんがもうすぐ帰ってくるし、お味噌汁だけでも作っておこうかな。

 

ニシノさんは冷凍してあったシジミを出してきて、昆布と一緒に火にかけました。

 

ただいま。

 

そのうちに、ゆうこさんが帰って来ました。

「そういえば、うちの職場でも<beautiful world>とっても流行っていてね!

同僚の女の子が、主催イベントに有名人が来たー!とか、たまったお金でメディア出演権を買って

講演会をしたりしたー!って楽しそうに喋ってた。

だけど、フォロワー奪われた!とか、私のイベントめっちゃ真似する人がいる!とか怒ったりもしてた。

ゲームとはいえいろんなことが起こるんだねぇ。

ふふ。」

 

そうなんだぁ、と言いながら、ニシノさんも<beautiful world>を開いてみました。

 

えっ。

 

ニシノさんは少し驚きました。

 

<beautiful world>の画面が真っ黒になっているのです。

 

真っ黒の中に、小さな、動く光る点があることに気づき、それをタップしてみました。

すると、こんなメッセージが真っ暗な画面に白文字で浮かび上がりました。

 

【アナタノ セカイハ キエマシタ

ヤクソウヲ ウバイタイヒトタチガ オシヨセ

アナタノ セカイヲ コワシテシマイマシタ

アナタノキャラクターハ ヤカレ イエモ コワサレマシタ

ソコカラノ シュウフクハ ムツカシイタメ イチド リセットシマス】

 

ほぉう。

 

ニシノさんは感心して言いました。

 

「このゲームにここまでの自由性があったのは知らなかったな。」

 

実は、ニシノさんの作った薬草は、なぜだかわからないけれど、

そのキャラクターを次元的に上昇させ、飛躍的に魅了的にするアイテムになっていたのですが、

 

それを、派手な集団についていったうちの一人が自慢して言いふらしたので

あっという間に広まり、大変なことになっていたのでした。

 

「いやーなかなか面白かった!!次はどんなキャラクターにしようかな。」

 

ニシノさんはスマホを置いて、

ちょうどいい具合にできたシジミのお出汁に味噌を溶き入れました。

 

その日も二人で楽しく夕食をとり、

そして眠りました。

 

 

 

 

 

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