ニシノさんととらくんは、
とある老舗の喫茶店で、
隣の席に座った男女の会話を、盗み聞しています。
★
男:めっちゃ寂しい。
女:さみしい?
男:寂しい。
なんでこんなに頑張らないと認めてくれないの?
なんで自信満々なんだ?今の女の子たちって。
なんでそんなにガツガツしてるんだ?
全然男子の方向いてないじゃん!
女:いや、ガツガツしてるんじゃなくて、頑張ってるだけじゃんこっちは!
今、最先端の勉強もしてるんだよ!【マイビジネス】ていうの。
男:なんで自分だけそんなのやってんの?なんで誘ってくれなかったの?
女:だって、父親も、女なんて家にいとけ、とかいうし、学校も会社も、男優位!
女の方が能力あるのにね!我慢してたんだもん!なんで誘わないといけないのよ!
ばかじゃないの。
男:俺は、お前のために犠牲を払って頑張ってきたのに、今の態度はなんだ!
お前は、体が弱いから俺やお前の父親が前線に出てやってきたのに、
それが今はなんだ!馬鹿にして、当たり前だと思ってるだろ。
お前らが俺たちに働けって金を持ってこいって意識があるから、
男性は我慢して働いてきてやってるのに、なんで感謝もせず、文句ばっかり言うんだ。
女:なんで犠牲にしてまで働くの?
男:お前は馬鹿か!お前のために決まってるやろ!
そんなことも分からないのかよ。
女:本当はどうしたいの?
男:そんなのこっちが聞きたいわ!!!
お前はどうしたいねん!(男、なぜか関西弁になってくる。)
女:私のためにありがとう。
男:上辺だけで言うな!!!!
わかってんねん!そんなことは!!
女:自分のために生きて。【マイビジネス】では、それが基本だよ。
男:うるさい!お前が自分のために生きろ。俺に指図すんな!
その理屈っぽいとこが嫌いやねん。
女:繊細なのね。
男:評価すんな!お前ごときが。
女:めんどくせー。
男:(ギクっ。バレた。俺めんどくさい・・・)
お前分からんくせに分かったようなこというな!わからんねやったら黙っとけ。
分かったような口をきくな!!!
女:わかるように話してください。
男:お前が察しろや!俺の言うことを!!
女:思ってることを言わないからわからないんでしょ!!!
自分のために生きたらいいでしょ!!!
男:お前生きるって意味わかってんのか?
お前さ、女子ども養ったことあんのか?その責任わかんのかボケぇ。
クソガキが偉そうなこと言うな。養ってから言え!!
女:なんでそんな責任感じてるんですか?(おちょくるように敬語で話す女。)
男:言語化できないイライラがこみあげてくる。
女:なんでそんな女や子どもを養う責任感じてるんですか?
男:お前養われてきたくせに、偉そうに言うな!
それに対してどう思ってんねん!感謝したことあるんか!
お前が今まで大きくなってきたの誰のおかげかわかってんのか?
女:自分で選択したんじゃないの?全ては、自分が選択してきたことなんだよ。
男:選択するもせんもそうするしかなかったんじゃ!!!
なーにいっとんねん!何がマイビジネスじゃ!だから自己啓発みたいなん嫌いなんじゃ!
良い子ぶんなあほ!
俺の愛をわかってくれよ。。。。。
女:じゃあ、具体的にどうして欲しいの?
★
その言葉を最後に愕然とをうなだれ、何も喋らなくなってしまった男性を、ニシノさんは心配そうにチラチラ見てしまいました。
それを見て気まずくなったのか、女性の方は、千円をテーブルの上にたたきつけ、
喫茶店を出て言ってしまいました。
ニシノさんは、いたたまれなくなって、その男性に声をかけました。
「いやはや、大変でしたね。。。
どうです。パートナーをもつメンズ同士。
新しいコーヒーとパンケーキでも頼んで、
一緒にトークしませんか?
マスターのパンケーキはふわふわですごく美味しいですよ。」
その男性は、初めはポカーンとしていましたが、
ふっと肩の力を抜き、
うなづいて、マスターの許可を取ってから、
二人がけのテーブルを、ニシノさんたちのテーブルにくっつけました。
マスターは、ふふふと笑いながら、
フライパンに、
バターをひきはじめます。
バターのいい香りがその空間を優しく包み込みます。
お冷を一口飲んで、その男の人は話しはじめました。
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