ゆうこさんは、急いで残りのビールを飲み干し、
会計をして外へと走り出しました。
「家に戻らないと!!!」
もう、あたりは暗くなりかけていましたが、
最終電車には、まだ間に合いそうです。
急いで切符をかい、電車へと滑り込みました。
★
電車に乗っている途中、ちらほらと、白い雪の粒が見え始め、
やがて吹雪になりました。
白くふきつける吹雪を眺めているうち、ゆうこさんは眠ってしまいました。
そこで、ゆうこさんは夢を見ます。
★
ゆうこさんは、ちょうど、家に帰ったところでした。
すると、家の中が、何やら賑やかです。
キーキー!!!
にゃおにゃお!バンバンバン!
ジュージュー!!
そして、複数人の、笑い声。
ゆうこさんがソファーの部屋に入ると、
のぶおくんが、キッチンで、何やら卵を使った料理をしているのが見えました。
大きな胸にイアイを抱いた髪の長い女の人は、鼻の下を伸ばした居合斬りの師範と談笑しています。
その姿を、この間神社へとお参りに行ったおばあちゃんが、睨みつけています。
峯岸さんと、峯岸さんの彼女は、赤ちゃんを抱っこした美子さんと何やら真剣に話し中。
どうやら、峯岸さんの彼女は妊娠中のようです。
やまにしさんは、庭にいて、ねこたちとしばいぬの追いかけっこを楽しそうに眺めています。
「あら、ゆうこさん、お帰りなさい!!」
イアイを胸にだいた女の人が、ゆうこさんに気づきました。
お帰りなさい!
おかえり!!!
もう、みんなあんたとお茶が飲みたくて、まっとったんじゃ!
この、すけべじじいもな!
何がすけべじじいか!
まぁまぁいいじゃないですか。
ガヤガヤガヤ。
ねこのメルは少しの窓の隙間を見つけて、部屋に入り、ゆうこさんの足元に体を擦り付けました。
それを見た外の猫たちは、フゥーー!と、怒っています。
みんな、ゆうこさんに話を聞いて欲しくて、その家へ集っていたようです。
ゆうこさんは、そこに、ニシノさんの姿はないか探しましたが、
やはり、どこにもいませんでした。
ふと思い立ち、ニシノさんのデスクのところへ行きます。
そこには、家を出て来た時と同じ、一つのピースがかけたままのパズルが置いてありました。
ゆうこさんは、震える手で、教会でもらったパズルを、その欠けたところへ合わせます。
それは、ノアの箱船が描かれているジクソーパズルでした。
そのピースには、
オリーブの葉をくわえた、
鳩が描かれていました。
★
、、、こさん、 ゆうこさん。
ニシノさんの声が聞こえたような気がして、
ゆうこさんはハッと、目を覚ましました。
あ、夢だったのか、と思いながら、駅を乗り過ごしていないことを確認しました。
駅に着いたゆうこさんは、改札を出て、
出た時よりも幾分軽やかな足取りで、
家へと続く道を歩き始めました。
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