ゆうこさんは、その日、なかなか寝付けずにいました。
ようやくウトウトとして来たころ、
おかしな夢を見たのです。。。
★
そこは、真っ暗な地下室。ろうそくの明かりが一つだけ。
ゆうこさんはそこで冷たい床に座って、暗闇の中にいるナニカ、と、話をしています。
そのナニカは、「やみ」という名前だそうです。
ゆ:私は全然蔑ろにしてるつもりないけどな
闇:お前は蔑ろにしてない振りをして、闇を箱に閉じ込めて燃やそうとしてる。
それが許せない。
ゆ:してない、してない、してないよー。
闇:俺を箱に閉じ込めて、火葬場に持っていって骨にして白くしようとしてるだろ。
ゆ:じゃあ、どうしたいの、闇は?
闇:お前に愛されたい。
ゆ:でもさ、闇がないと小説も面白くないからさ、映画もつまんないよ。
闇:ちがう!それで正当化するな!俺はネタじゃない。
俺は俺として存在しているだけだから、面白可笑しくネタにするな。
ただ、俺の存在を認めろ。
ゆ:なるほどね。
闇:いつも光をみんなもてはやすけど、闇が前に出されるとしたら、それはピエロだ。
芸人としてしか前に出されない。
ただ、闇は美しいものとして存在しているのに前に出してもらえない。
闇は闇として存在しているのに何で光の方が偉いって思ってるんだ?地球人は。
ゆ:同じはずだもんね。光と闇って。今、変なウイルスのおかげで向き合える時なのに。
闇:今、まさに闇と向き合える時期なのに、みんな頑張ろうとか
同じ時間に瞑想しようとか言って、正義のヒーローごっこしやがって。
闇に向き合わなかったら、
これが終わってから闇に向き合うときは本当の本当に生きるか死ぬかのときだ。
今の闇に、俺に、向き合わないと、もうどうなるか知らないぞ。
天が割れ、地が落ちてくるだろう。
ゆ:悲劇のヒーローみたいだね。
闇:向き合って!言いたいことを聞いてくれたのなら、俺だって光なんだよ。もともと。
向き合って、話を聞いて。
明るいところになにも考えないで行くのは、頭の悪い虫だ。
朝方に、人間にとられて終わりだ。あの光はただの虫を集めるだけの光。
闇がつけた光もあるからな。
ゆ:よくわからない。
闇:お前はもともとそんな明るいところにいるのだから俺の気持ちが分からない。
まぶしいから。見ているのも嫌だ。お前の光が、怖いから、やめてくれ。
(ゆうこさん、闇の正体を見ようとろうそくを手に持つと、闇が怖がる。)
ゆ:私もともと闇だったんだよ。10年くらい。
闇:知った振りをするな。お前なんか本物の闇を知らない癖に、俺を知った振りするな。
本当の闇を知らない癖に、分かった振りをするな。
ゆ:本物の闇ってどんなもの?
闇:お前の心の中にある。
自分の心の中に本物の闇があるのに、それを見ない振りをするな。
俺は闇の元締めだから、お前の心の中に俺の分け御霊がある。
それを蔑ろにすると、今発動するぞ。お前たちの中の、俺の分け御霊が。
(ここで、ニシノさんも階段を降りて地下室にやってくる。)
ニ:弥勒菩薩と闇と同じメッセージを送っている。
正義と悪は逆転するから、陰陽なのに、シャドウなのに、それを悪いって決めつけてる
集合意識があるから、今こういうことが起こってるんじゃないかな。
ゆ:なるほど。善悪じゃなくて陰陽なのね。
闇:お前がよくて俺が悪いのか?自分の心に闇がないか聞いてみろ。
お前だって俺の分身がいるのに、見ない振りをして光だけをあると思うな。
奥の地下室に閉じ込めてるお前の分身は、俺の分身だ。
それがカギが外れたときにどんなことが起こるか思い知らせてやる。
ニ:自分の闇と向き合わないと相当やばいことになると思う。
思い知らせるっていうのは、自分の周りにわざとトラブルを起こして、
自分の内面と向き合わざるを得なくなる。
私にも闇あったなって気づくだけでいいのに、みんな檻に閉じ込めてカギをしてた。
それに早く気付いてほしい。早く解放してほしい。
解放してくれたら、暴れないで、助けたいのに。
ゆ:みんなもってるからね。闇。
闇を良いとか悪いとか判断する心がよくない。それ自体が闇
闇も光も善し悪しじゃなくて、良い悪いとジャッジする心こそが闇ってことなのかな。
闇:みんな光の言うことばっかり無条件にきくから、頭が悪いね。
自分の頭を使うことを忘れたのか。
闇の本質も愛だから、何で俺のことを愛ってわかってくれないんだ。
光の愛を感じるのに頭は要らないけど、闇の愛を感じるのは頭がいるんだよ。
ただのそれ、思い込みだよ。光がいいものっていう思い込みをなくしたら
闇って美しいし、闇は闇の中に、例えばお前たちは月や星が好きだろう?
それは誰のおかげで見れてるんだ?
月に感謝して、星に感謝しても、それを見せているものに感謝したことは
あるのか?お前たちは、闇の力を見くびっていないか?
お前たちの中にあるものなのに、それを見くびっていたら、
いつか闇は、世界を飲み込んで、月も星も見せないようにするだろう。
でも、俺のおかげでそれがきれいに見えてることをわかってもらえない。
ゆ:胸が痛い。悲しい。
俺はこんなに頑張ってるのになんで優しくしてくれないの?
そんな気持ちが伝わってくる。。。。
★
ゆうこさん!ゆうこさん!!!大丈夫!?
ニシノさんが、汗びっしょりで荒い息をしながらうなされているゆうこさんに気づき、起こします。
ゆうこさんは、真っ青な顔で、震えていました。
ニシノさんは、その手から出る不思議なヒーリングの力を使って、
ゆうこさんの体を落ち着かせるために、深呼吸をし、手を、ゆうこさんのひたいに当てました。
外には
カミソリのように細い月が、
真っ暗な空の上に、
ひっそりとぶらさがっていました。
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