その日、ゆうこさんは珍しくなかなか起きることができなくて、
深い、深い眠りに入っていました。
ゆうこさんがようやく目を覚ました頃、
下のかいは、シーーーーンと静かでした。
あのおじいさんは、毛布をきちんと畳んで、
<昨日は、世話になりました>
達筆な文字の書き置きとともに、五千円札をマグカップの下に置いて、いなくなっていました。
ダンボールの中には、イアイ、と名付けられたポケットモンキーが幸せそうに眠っています。
そして、ニシノさんのデスクの上には、
ほぼ完成した、ジクソーパズルが置いてありました。
、、、あれ。
ゆうこさんは思いました。
そのパズルの絵には、一つだけ、はまっていない箇所がありました。
ゆうこさんは、ニシノさんを探しました。
決して大きくはない家ですが、納戸や、クローゼットの奥も調べましたが、
ニシノさんはどこにも
いませんでした。
ゆうこさんは
ニシノさんがもう帰ってこないことを
心のどこかで気づいていました。
ゆうこさんの目からは、
ポロポロとなぜとも知らず、涙がこぼれ落ち、
日が傾く頃になるまで
止まることはありませんでした。
ポケットモンキーのイアイは
そんなゆうこさんをわけも分からず心配そうに見つめるばかりでした。
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