俺は峯岸。
今は、JALで、彼女が迎えに来てくれている空港へ向かっているところだ。
彼女とは遠距離恋愛だが、赴任先の土地の空気が合わないし、いてるやつもつまらない奴ばかり。
休みのたびに帰って、彼女と時間を過ごしている。
今の俺にとって、彼女との時間だけが、「生きてる」って、思える時間だ。
そうこうしてるうちに機体はランディング。
ドン!!
ちっ。今日のパイロット下手くそ野郎だな。
手慣れてる俺は、上の棚なんかに荷物を入れない。
入り口の乗務員のおばさんにこれ、入れといて、と頼めば、出るときに渡してくれるのさ。
俺は、ダイアモンド会員だからな。
一番最初に乗って、一番最初に降りる権利がある。
さて、お気に入りのRIMOWAを受け取ってと。
ちっ。最近の乗務員はババアばっかなのかよ。
そんなことを思いながら到着ゲートをでる。
すぐに、彼女の姿が見えた。
いつもの白いコートに、足元は黒いUGG。俺が買ってやったもの。
車の鍵を手に、俺に向かって少し飛びながら振っている。
可愛い奴だ。ってか犬かよ。毎回毎回。
運転はいつも彼女。俺は助手席で王様のように、リクライニングを最大に倒して、ケータイをチェックする。
「あの、、、ちょっと話したいことがあるんだけど。」
ホェ〜。
俺はツムツムがいいとこだったから、半分くらいしか聞いてなかった。
彼女はそんな様子の俺を見て、少し笑いながら、
ちょっと夜景でも見に行っちゃおーう♩と、一人ごとのように言い、家とは少し違う道を進んだ。
ツムツムにも飽きて、少しうとうととしてた頃。
ガタンっ!!!
という衝撃で目を覚ました。
あろうことか、車は、崖を滑り落ちているような状態だった。
彼女は気を失っているようだ。少し頭から血が出ている。
大丈夫か!??
彼女に声をかける。
うーーーん。
よかった。意識はあるみたいだ。
幸いなことに、崖の下にズルズルと滑りおり、車は止まった。
「いやー参ったな。大丈夫か?」
彼女と二人、やっとこさ、車の外に出た。俺は、どうやら、右の足首を折るかひねるかしてるらしい。ま、でも大したことはない。
問題は、ここがどこか、だ、、、、、
そのとき、木々の間から、人工的な光が見えた。
どうやら、少し歩いたら住宅街らしい。とりあえず、あそこの家に助けを求めるか。。。。
彼女と支えあいながら、その家までたどり着いた。
その家にはピンポンはなく、
木のドアには、ヨーロッパの扉のような、真鍮の飾りが取り付けられていた。
<ご用の方は、こちらでノックしてください>
俺は、飾りに手を伸ばした。
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